SUBARU BRZ を買った

クルマが好きだったからマニュアル免許を取った。

公道がとても恐ろしいことを身をもって味わったのでハンドルを握ることも、とくにクルマを持とうともしなかった。

それから7年経って、急にクルマが欲しくなったので買った。

SUBARU BRZ を買った。

まだ治安がいい時間帯の大黒PA

運転操作はもちろんのこと、どこかへ出かける上で間違いなく使うことになる道路に少しでも早く慣れたくて、納車されて一週間は毎日乗り込んで自宅近辺の生活道路、都内の高速道路を走り回った。一ヶ月点検を迎える頃には取扱説明書に書かれている 1,000km の慣らしは終わって、流石に最近は落ち着いてきた。

退勤作業をして、街の帰宅のラッシュも終わった頃の夜の首都高にフラリと走りに出るのは、緊張するけれど楽しい。時間帯の都合上、サービスエリア、パーキングの飲食店が閉まっているのがほとんどなのは残念なところだけれど、お目当てがあるのならそれを目的に計画を立てて、また別の時に向かえばいい。

筆者近影

当たり前の話だけれど、自分のクルマというのは自分勝手に好きなときに好きなところへ出かけていって、気が済んだら帰れる乗りものである。

これがレンタカー、シェアカーになると、事前に乗りたいクルマがある場所を調べて、利用したい時間が空いているか、空いていたら予約をして、など、自分から発生するものではない、外部からの都合がやってきてしまう。自由に、どこへでも好きに行けるというのは、想像していたよりも、ちょっと楽しい。

イカーを持つというのは手に入れる費用だけでなく維持費も相当に負担がかかることだけれど、それでもよかったと思えている。

山伏峠展望台

ところで、自分が購入した BRZ は、オートマチック車である。

え、いや、自分、マニュアル免許でしょ、なんなん、という疑問は正しい。オートマチック車を選んだ背景を筋道立てて話そうとすると難しいのだけれど、決定打の一つは BRZマニュアル車にはアイサイトが無い、という所だった。

人それぞれ様々な考え方があると思うけれど、自分がハンドルを握るにあたって、先進運転支援と呼ばれるシステムのバックアップがないのは恐ろしいことだと感じたし、クルマを手にするにあたってのリハビリも、ペーパードライバー講習やシェアカーでの練習した程度のただの初心運転者という精神的、技術的な未熟点があった。

実際のところ、アイサイトのおかげで助かったという場面には、運良くここまで遭遇していない。

納車から3ヶ月を目の前にしたところでカーナビのチルト機能に気が付く

便利さを感じたところでは、全車速追従のクルーズコントロールはとても気に入っている。とくに好んでいるのが、BRZ 搭載のアイサイトで自動制御されるのは車速のみで、車線中央の走行を維持するアクティブレーンキープが搭載されていないところだ。

ドライバーはペダル操作からは解放される一方、ステアリング操作は依然として要求されるので運転操作の緊張感は完全に無くなるわけではない。

ある程度の緊張感というのは、運転中に失ってはならないものだと少なくとも今の自分は考えているので、むしろとてもよい点だった。ステアリングを制御するモーター類がないことで、結果的にステアリングハンドルの径がコンパクトにできているのも取り回しがしやすくて嬉しい。

マニュアル車に未練が無いかというと嘘になるけれど、例えば走りごたえある山道でマニュアルのような雰囲気を楽しみたければマニュアルモードにすることもできる。シフトノブでもいいし、あるいはステアリングに備え付けられたパドルシフトを使って自分の好きなギアを選べるもので、そのときの回転数から許容できないギアに落とすような操作をすればシステムによって拒否されるから、レブリミットを超過してしまうシフトミスも起きない。

クラッチペダルの操作もないし、そんなの純然たるマニュアルじゃあないじゃないかというのは、まったくその通りなのだけれど、2速のまま踏み込んで高回転へと回っていくエンジンの音、シフトアップでスッと下がるタコメーターの針は心沸き立つもので、その場に合わせてオートマチックとマニュアルを任意に行き来できるのは、なんというか、いいとこ取りで、ある種の合理性も感じられた。

オートマチックを選ぶのか、それともマニュアルにするのか、という悩みができるぜいたくをマニュアル免許は与えてくれたんだなと今は感じている。

滝沢ダム駐車場

季節はもう冬になり、関東の山道にも降雪や凍結の時期が訪れている。都内で生活する自分は、果たしてスタッドレスタイヤを購入するかどうかしばらく悩んでいたけれど、BRZ を手にして最初の冬は履き替えず、そういった場所に行くのは控えてみて、どれくらいの自由が脅かされて不便になったかを3月ぐらいになったら振り返るつもりである。

その間は、とりあえず、行きたい場所に思いを馳せながら Google Map でお気に入りピンを立てていこうと思う。